I.A.C

I.A.C=Instant Army Children(アイ・エー・シー=インスタント・アーミー・チルドレン)

背景

新太陽暦20XX年

宇宙から飛来した未確認生命体、通称・Variant(ヴァリアント)による侵攻が起こる地球上での話。

Variantは意思疎通が取れず、人間を始めとする地球上のあらゆる生命体に寄生、または捕食行動とみられる攻撃行為を繰り返し、生息域を増やそうとしている。

Variantは定期的に、地球の周回軌道上に停泊した”マザーシップ”により、無作為に地上・海上にばら撒かれる。

研究家たちは「Variant自体に明確な意思は無い。”マザーシップ”は種子貯蔵船であり、恐らくはそれを作った異星人たちの居住環境に近い地球が”Variantの耕作地”として選ばれた」との見解を示している。

各国はこの脅威に対して協力関係を築き、対策にあたっている。

当初は軍隊による駆除活動が行われたが、未知の生命体の繁殖スピードがあまりにも早いのと、植物とも動物ともつかない生態の把握に四苦八苦し、決して少なくはない犠牲をはらった。

それゆえに、軍隊への志願年齢の引き下げや、兵役の導入など”非常時対応可能な人材”の育成が急務とされた。

I.A.Cとは、非常時対応任務にあたる11~17歳の子どもたちの通称である。

実験都市:Eisenhower(アイゼンハワー)

軍監督のもと、行政全体で兵士を育成する実験都市は各所に存在しており、アメリカにある実験都市にはそれぞれ歴代大統領の名前が付けられている。アイゼンハワーはテキサス州に築かれた、世界でも最大規模の実験都市である。

初等教育から兵士育成のための特別プログラムが実施されており、中等部後期課程から(後方支援ではあるものの)実戦と遜色ない任務を受け、高等部ではほとんど実戦と同じ任務を受けることになる。

Eisenhower Military Academy(アイゼンハワー・ミリタリー・アカデミー)

初等~高等教育が行われるアカデミー。6~18歳の生徒が併せて3,000人在籍しており、実験都市の中でもっとも大きな施設である。初等部では一般教養を、中等教育前期課程は一般教養と歩兵科のカリキュラムを学び、後期課程からは後述する専門学科へ入り、選択授業が始まる。

基本は中等部から完全寮生活だが、諸般の事情で実験都市内の住宅から通学する生徒も存在する。

専門学科

歩兵科
総合戦闘に特化。小銃火器までを扱う。(希望科に関係なく、中等部前期課程は歩兵科のカリキュラムを受ける) 主に対Variant戦闘、対人戦闘を想定した戦いの技術を叩きこまれる。近接~中距離での戦闘に特化。生活規則が厳しい。罰は連帯責任で受ける。

砲兵科
火器に特化。小銃火器~重砲までを扱う。射手・砲手・狙撃手の育成が主。 主に中距離戦闘を想定した銃火器の技術を叩きこまれる。備品の持ち出しに関する規則が全学科の中でもっとも厳しく、罰則も重いため、真面目な生徒が多い。

騎兵科
運転技能に特化。輸送を担う運転手や、戦闘車両・戦闘機などの搭乗員、ドローン操縦士の育成をする。 想定されるレンジは各学科の中でも最長。長距離移動や人間が入り込めない箇所の偵察任務など、忍耐力・集中力を試される。 孤独な環境に置かれることが多く精神を摩耗しやすい。

工兵科
陣地作成に特化。戦場におけるあらゆる知識が必要とされるため、実戦と同等以上に座学の成績も重要視される。他学科に比べてペーパーテストの回数が多い。 臨機応変に対応する頭脳、全天候に対応できる体力を要する。戦闘能力は低いが、縁の下の力持ち。 規則・罰則は比較的緩いが、一定の成績に満たない者はすぐ異動させられる。

整備科
戦闘で使用されるすべての装備品の知識が必要とされるため、全学科の中でペーパーテスト最多。また座学の成績が最重要視される唯一の科。 科の中でも火器部門、車両部門、航空部門と専門が分かれている。 人の命を預かるため、点検規則が厳しく設定されている。

医療科
医療兵を育てる部門。戦闘訓練は少ないが、実戦では長時間対応が必須のため体力が重要視される。
医療の知識に明るいのは前提として、「駆除対象のVariantは毒を持つか、寄生や感染はあるか」などVariantに対する最新の正確な知識を常に頭に入れておく必要がある。 Variantの研究機関と連携している。

戦略科
一部の成績上位者が”招待”される学科。この科に異動した時点で、学生でも「士官」の階級を得る。 戦況を読み、戦略・戦術を立て、実行し、勝利をつかみ取る頭脳が求められる。
運の良さ、引きの強さで所属している者もいるとか……。

構内設備・施設

生徒一人ひとりにはIDが発行され、配布されるドッグタグにそれを識別するチップが埋め込まれている。これは生徒IDと呼ばれ、各種施設や寄宿棟の出入りの際に必要となる。

校舎
初等部・中等部が通常教室と特別棟で2棟ずつ、高等部が通常教室と特別棟、設備棟の3棟で構成されている。
設備棟はその名の通り実習に使用する火器やドローンなどが集約されている。

訓練施設関連
グラウンド…砂、芝、アスファルトの3エリアに分かれている。
400メートルトラック…グラウンドとは別に設置されている。
アリーナ…バスケットボールコートが2面ずつある。
屋内射撃場…許可を得た生徒のみが入室可能。出入りの際は生徒IDをかざす。

寄宿棟
生徒が寝泊まりする建物で、初等・中等・高等とそれぞれ1棟ずつ、計3棟がある。学年による出入りの制限は特にないが、等級を超えた棟の出入りは禁止されている。(中等部2年生が中等部3年生のエリアに入ることはできるが、高等部棟へ出入りすることはできない)
また点呼の時間が指定されているため、その時間に自分の部屋にいないと罰則を受ける。
部屋は6人一部屋。学年が上がるごとに定員割れが起こる。

食堂
寄宿棟それぞれの2Fフロアはすべて食堂となっている。主食・主菜・副菜を3種類の献立の中から選べる。
飲み物はドリンクサーバーから好きなものをセルフで受け取る。

研究棟
主に出入りするのはVariant研究機関と連携を行う医療科。運び込まれる検体は”死んだVariant”に限定されている。